しろありNo.167
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26Termite Journal 2017.1 No.167また, リフォーム市場の拡大と良質な中古住宅の流通の促進のために長期優良住宅化リフォーム推進事業が制定され, 新たに子育てしやすい環境整備を図るために三世代同居を実現させるためのリフォームに対する支援も行われるようになっている。 長期優良住宅化には, 耐震性, 劣化対策, 省エネルギー性, 維持管理・更新の容易性等の住宅性能の向上に加えて, 維持保全計画・履歴の作成が求められている。いずれにしても, 劣化事象等の現況を確認し, 必要な補修等を実施し, 維持保全計画にインスペクションの結果を踏まえた点検時期・内容等を記載することが必要で, インスペクションが重要な役割を担っている。6. おわりに 新しい住生活基本計画における様々な施策, 住宅循環システムの構築や空き家問題への対処において, 建物状況調査(インスペクション)は不可欠な要件になっている。インスペクションを行う検査人の資格要件として, インスペクション結果を用いるその後の事業によっては, 資格要件が建築士などに制限されることもあるが, それ以外, 協会の蟻害・腐朽検査士が機能する場は多いと考えられる。 パエルディスカッションを終えて, しろあり防除施工士を母体とする蟻害・腐朽検査士は耐震性や省エネルギー性能など建築工法, 材料などの知識の習得に努めるとともに, 白対協としてインスペクションにかかわる行政, 建築団体, 不動産団体, 瑕疵担保保険法人など関係諸団体との密接な連携の必要性が痛感された。参考文献1) 国土交通省(2016):住生活基本計画(全国計画)2) 株式会社野村総合研究所(2015):住宅の除却・減築などが進まない場合, 2033年には空き家が2,000万戸超へと倍増, 2015年6月22日ニュースリリース3) 株式会社野村総合研究所(2015):2030年度の新設住宅着工戸数は53万戸に減少, 2015年6月15日ニュースリリース4) 国土交通省(2016):既存住宅のインスペクション・ガイドライン5) 国土交通省(2016):宅地建物取引業法の一部を改正する法律案, http://www.mlit.go.jp/common/ 001120594.pdf図8 長期優良住宅(増改築)認定基準の概要 (国土交通省:住宅循環システムの構築に向けて平成28年月4日より)

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