しろありNo.167
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28Termite Journal 2017.1 No.167ている。これは, かなり前からそういう傾向です。 この空き家自体が非常に深刻な問題で, 長崎県でも県と市町がまずは窓口になっていろいろな取り組みをしています。いろいろと言っても, 大きく分けると活用と解体ですが, 解体はいまのところ10の市町, 長崎県には21の市町がありますが, その半分で解体の補助金を出しています。 ただ, 解体をし続けてももぐら叩きの状態で, お金は幾ら入れても次から次へ出ていくみたいな話があります。まあベースとしてはやらなければいけないと思いますが, それを幾らやっても防止にはならないということが皆さん薄々わかっています。 活用の方ですが, 活用の補助は国もご用意されていますが, 用途が決まっているので, 補助金を出すことのもう一個手前に「空き家バンクをつくろう」ということで, 長崎県の市町村で言えば, いま21あるうちの14, 2/3が空き家バンクという形で, 民間の市場と組んでいる分もありますが, もしかすると独自でやっているのではないかというのも含めて14市町で空き家バンクをやっています。 ただ, 空き家バンクはいろいろな見せ方があって登録件数も様々ですが, 離島で頑張っているところもあれば本土, ご当地長崎市の悪口を言うつもりはありませんが, 長崎市は空き家バンクがあるけれども登録件数が1ケタとか, 離島の方は登録件数があるわりに活用されていないとかいろいろ問題があります。 ただ, 空き家バンクの登録は基本的に家主さんの申し出があるだけなので, 例えば, ここに今日来られている蟻害の話とか, インスペクションが要るとか, 後で専門の方からお話が出ると思いますが, インスペクションが必要ということは何もなく, 耐震改修も特段必要がないという状況なので, 登録されたものを右から左にご紹介するような状況ではあります。 そういったところですから, 例えば「付加価値を付けてください」とか, 「これは安心して使える空き家ですか」と言わると, 「ちょっと待ってくださいねえ」みたいな話になって, インスペクションの費用なり, 蟻害の調査なり, 耐震性の問題なりというのは誰が出すのかという次の問題になりますが, いまのところそこまで意識が行ってなくて, 空き家バンクの件数を集めるのに一生懸命だということになっております。 ちなみに, 昨年末ぐらいに全県下で空き家が10万1千軒ありました。その半分が活用予定のない空き家で, 大体5万戸ぐらいは「その他の空き家」であるはずですが, 空き家バンクに登録されているのがまだ240軒なので0.0何%ぐらいしか活用されていません。活用されていないと言われても, その中でも調査がいろいろ保証できるようなものがあるかどうかはまだ追い着いていないという状況ではあります。 それから, 長崎県でも「空き家対策協議会」ということで, 県・市町だけで一生懸命に補助金を継ぎ込んでもしょうがないということで, 不動産団体さんや解体業者さん, 移住の部局などと連携して空き家対策協議会を設置しております。 これについては, 例えば最近だと空き家のニュースは1週間に一回ぐらい出ますが, そういう法制度の話, 先進事例の話, 主に活用の話について情報交換をすると同時に, うちは宅建協会さんが入っていらっしゃるので, そこにお願いして「空き家相談窓口」で電話の相談を受けられるようにしております。 そこの中には, 売却とか賃貸とか不動産屋さんが得意な分野もあれば, 解体とかリフォームとか, 管理など, 部局以外に聞かなければいけないというところもありますが, 一応窓口は一元化されています。ただ, その中に, 今日来られているシロアリの専門家にはまだお入りなっていないのか, こちらがお声がけしていないのかわかりませんが, そういった方についてはまだお入りいただいていないので, 空き家というか, 住宅の活用という話になると幅が広くて, とりあえず売却とか解体という方だけに入っていただいている状況です。 この空き家対策協議会は昨年の7月に始まったばかりで相談件数も少ないですが, もともと母数が10万戸ぐらいあるので, これがないと誰に相談していいかわからない。誰にというか, 民間の人に相談することはできますが, そこはなかなかはばかられるというのがあるのかもしれないので, そこは空き家対策協議会の相談窓口は設けたばかりなので, これから相談に見えるのを待つのか。もしくはもう少しPRして日曜日の繁華街に出かけて行って相談を受けるということをするのか, 今後考えていきたいと思います。 雑駁な話になりましたが, 以上です。【土井】ありがとうございました。いま森さんから県の取り組みということで, 長崎県としての特徴は離島が多いので非常に難しいところがあるというお話, それからパネルディスカッション

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