しろありNo.167
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31Termite Journal 2017.1 No.167 これは何を求めてかというと, やはり中古住宅の流通に関して安心して消費者が購入できるものということで, 最低限の知識を皆様に持っていただきたいということで, 国土交通省の方で一番標準となる仕組みになっています。 ですから, 逆に言うと「見えないものは見えなかったと報告をしなさい」というところが一番のネックになるのかなと我々も考えております。ただ, 少なくともそういった検査の知識がない方, いわゆる検査業務というのは新築の建物を検査するのと違って, 実際に使われてきた建物を見るので劣化事象, 建物は当然劣化しますから, その事象の判断項目をある程度細分化して, 「こういったものが劣化事象ですよ」ということを少し細かく噛み砕いたような形で策定したものが, 今回のガイドラインです。 その考え方に対して, やはり我々も検査という形で保険というのは切り離せないので, そういったところでいかにその部分を甘く広く皆様にお伝えできるかということで, 我々も平成25年11月に既存住宅現況検査技術者という登録の制度をつくりました。それが, お陰様で4年目を迎えさせていただきまして, 当協会に登録をしていただいている建築士, もしくは施工管理技士の皆様がお陰様をもちまして1万4千人を超える登録をしていただいています。 そういった方々が, 逆に言うと今回の長期優良住宅化リフォーム推進事業における事前のインスペクションを行える資格がある方, そういった形でまた我々としても検査業務にいかに関わって, そういう方々に検査という新たな市場を使っていただくような努力を日々行っているという状況でございます。 そういった団体を実は14団体ありますが, 我々の団体の登録をしていただいている方だけ, 先ほど申し上げた個人間売買の瑕疵保険における検査省略という, そういったメリットもございます。まだまだ1万何千人ですから, できれば2万人, 3万人と広く, 検査という業務自体を皆様にもう少しご理解をしていただいて, そもそも買ったときに建物は終わるというすごろく形式がなくなって, 建物をいかにうまく流通に乗せてそもそもの市場価格がもっと上がり, 流通が促進できて我々の瑕疵保険がまた活用できるような未来に展開していければいいなと思っております。 本日はお招きいただきましてありがとうございます。また, よろしくお願いいたします。【土井】ありがとうございました。ただいま小野さんの方から, 瑕疵保険では非常にインスペクションが重要な要素であって質を上げていくということで, いま保険協会からの方では既存住宅現況検査技術者という資格制度を設けられた。それには, 恐らく私どもが持っている蟻害・腐朽検査士という制度ですが, 残念ながらいまの有資格者は1,000人ほどです。 そこで, 国土交通省のインスペクションのガイドラインでは一応建築士, それから施工管理士という具合に, 要は建築に携わる技術者がそれに当たるということに, ガイドラインとは言いながらかなり重きがあります。そこに, 我々がどうやってコラボをしていくかというところが多分大きな課題になってくるのではないかと, いまのお話を伺って思いました。 それでは, お三方からいただいたお話の中で, まだ記憶が新しいうちに何かご質問がございましたら, 遠慮なくよろしくお願いします。どうぞ。【友清】私は, シロアリ対策協会の理事をしている友清と申します。 いま土井先生がおっしゃいましたように, インスペクション・ガイドラインのときに, 「蟻害・腐朽検査員をお願いします」ということを国交省に申し上げましたが, ダメだということで, せっかく国土交通省と我々の協会でつくった蟻害・腐朽検査士の採用が見送られております。この辺, さっき土井先生がおっしゃいましたようにもう一度考えてもらうというのが一つ。 それともう一つ, 非常に大事なことは保険制度ができたときに, 当時の建設省の小豆畑さんと私は大口論をしましたが, インスペクションでシロアリの被害, あるいはアリの道, こういうのが見つかった場合には, それをリフォームしてきれいな状態にしても, 「保険の対象にはなりません」, こういうことをおっしゃったわけです。 そうすると, 先ほどのインスペクションに絡みますが, 「インスペクションしなかった方がいいのではないか。そうすると保険の対象になる」という変な話になってくるわけです。 水漏れ等は, きれいに修理すれば保険の対象になる。しかし, シロアリの被害とか, アリの道がそこに見つかったというだけで保険の対象にならない, こういうことであったのですが, その辺はその後どういうふうな展開になっているのでしょうか。以上です。

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