しろありNo.167
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3Termite Journal 2017.1 No.1673図1 ネバダオオシロアリの(a)成熟巣の一部(スケールバー1cm)と(b)初期巣(5mm)。 (c)初期巣内で最初に3齢に脱皮した個体(No.1)は,約7日で必ず前兵隊に分化する。一方で, 2番目に3齢に脱皮した個体(No.2)は,約20日で4齢に脱皮する。(d)No.1とNo.2の脱皮後0から7日目までの, 雌雄の生殖虫との栄養交換行動(左)と他個体へのグルーミング行動(右)の頻度パターン(Maekawa et al. 2012を元に作図)。栄養交換頻度(回) 0 1 2 3 4 5 6 7 グルーミング行動(秒) 0 1 2 3 4 5 6 7 No. 1 No. 2 脱皮からの日数 7日 脱皮0日目 前兵隊 4齢 No. 1 No. 2 5日 (a) (b) (c) (d) 約7日 約20日 シロアリのゲノムが解読され22), 続いてナタールオオキノコシロアリMacrotermes natalensisのゲノム解読が終了した23)。日本の最普通種であるヤマトシロアリReticulitermes speratusのゲノム解読も終了している24)。様々な種でゲノムの解読が進められるのは, ゲノムが生物を形づくる設計図であるからに他ならず, ゲノム情報を基にして社会性進化の共通性や多様性を議論できる可能性があるからである25)。筆者らは, ネバダオオシロアリのゲノム情報を最大限に活用することで, 初期巣の兵隊分化の決定機構を明らかにすることを試みた。まさに, 近年のゲノム科学の恩恵に与ったわけである。

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