しろありNo.174
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 第13回環太平洋シロアリ学会(Pacific Rim Termite Research Group; PRTRG13)大会は, 2020年2月12〜13日に台湾の台北において開催された。台北松山空港では, 筆者が本学会のために降り立ったその日から, 新型コロナウイルス感染症に関する申告書の提出が義務付けられた。台湾では2月6日には中国全土からの入国を禁止するなど, 早い段階から対策を講じている状況であった。そのような状況の中で開催された学会であったが, 事前に約150人の登録があり, 当日に参加ができなかったのは, ごく少数であったと聞いている。 今回の学会の開催会場は, 台北動物園のジャイアントパンダハウスの建物であった。台北市内では街中で道ゆく人々の多くはマスクを着用していたが, 会場に到着してみると, 参加者は全員マスクを着用していた。そして, 会場の入り口にアルコールスプレーが設置してあるのではなく, 入り口に2名の係が常駐し, アルコールスプレーを手に持って立っていた。会場に入るときに必ず彼らに捕まる仕組みとなっており, 彼らは入場しようとする人の全てに, 直接必ず消毒を促し, 他にも非接触型温度計による検温を行なっていたことが印象深かった(写真参照)。この対策によって, 学会大会の会場には, すべての人が手指消毒を行った状態で入場することとなった。かなり感染症対策に気を遣う運営であったことだろうと思う。11熊本高等専門学校 生物化学システム工学科・拠点化プロジェクト系 木原 久美子Information0-1. 大会開催の状況 2019年の末から2020年の始めにかけて, 中国は武漢で新型コロナウイルス感染症が発生し, 1月には横浜港にてダイヤモンド・プリンセス号における感染状況が日本でも話題となっていた。1月時点での台湾での本感染症罹患者はまだ数名, 日本でもまだ感染拡大にまで至っていない時期ではあった。それでも学会開催前には, 感染症対策下における大会運営に関する連絡がまわってきた。感染症予防のために, 学会大会参加者にはマスクの着用が義務付けられ, 会場に入る際には入り口で手指消毒を行う旨のアナウンスがあった。0-2. 本稿について 本稿ではPRTRG13の講演要旨集(Proceedings)から内容を記した。短くまとめるにあたって筆者の意訳となっている部分があることをご了承いただきたい。また, 発表タイトルに続く著者名は敬称略で第一著者名と人数のみを記し, その所属が複数ある場合にもひとつのみを短縮した形で, 所属先機関が存在する国の情報第13回環太平洋シロアリ学会大会の概要

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