しろありNo.174
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0.80%), C. formosanus(51.57±31.52%), O. formosanus(5.91±0.63%)と優位に異なっていた。また, 建築行動のパターンを, 動作と遷移確率で表した。建築行動は30分間動画撮影し, 各コロニーの職蟻50頭の行動の頻度をカウントして求めた。N. takasagoensisは, 現場到着後, 最初に顆粒配置(52%), 糞便堆積(48%)を半々程度の確率で行うが, C. formosanusとO. formosanusは顆粒配置のみを行う(各々94%と96%)傾向があった。その後すべての種において体液分泌が行われた。続いて, N. takasagoensisとC. formosanusで糞便堆積が行われた(各々53%と30%)が, O. formosanusでは行われなかった。さらに, 糞便堆積, 体液分泌, 顆粒配置の行動の頻度については, 種間で優位に異なっていた。糞便堆積については, N. takasagoensisはC. formosanusよりも優位に高く, 多くの糞便を利用したことを示唆している。体液分泌については, 菌床栽培シロアリは体液分布頻度が高いという報告と異なり, C. formosanusの頻度が最も高く, それ以外の2種間に有意差はなかった。顆粒粒配置については, N. takasagoensisでは頻度が最も低かった。sp.の1齢幼虫を発見し, その発生は3月から7月に限定されていた。Japanophilus sp.の幼虫は宿主シロアリと接触のない領域に多く存在し, 成虫はシロアリがいないと生存できないのに翅がなかったことから, 分散は幼虫期に起こると推察された。一方で, Shinophilus sp.では成虫が翅を持っており, 分散は成虫期に起こると考えられた。好白蟻性ハネカクシの生活史を解明するには, 雌の成虫の生殖器官を観察することが重要だと考えられ, 一部の個体はブアン液固定後にMicro-CTによる内部組織の観察を行った。Japanophilus sp.の雌の成虫では体内に13個の成熟卵を保持できることやShinophilus sp.の卵も同程度のサイズであることがわかった。1717[15]好白蟻性ハネカクシの謎めいた生活史の調査Exploring the Cryptic Life-History of the Rove Beetles Associated with Formosan Subterranean Termite Wei-Ren Liangら2名(National Chung Hsing University, Taiwan) 好白蟻性昆虫はシロアリの巣内に棲んでいたり, シロアリと切り離せない関係を保持したりしている生物である。化学擬態をしたり線虫のキャリアとして働いたりするなど, シロアリの生態や進化に深く関わっているが, その生活史は未解明である。イエシロアリCoptotermes formosanusが侵入している丸太の近くに, 松の木の薄片を束ねて作ったベイトをセットし, 2015年から2018年までの間, 1-2ヶ月ごとにベイトの回収と新ベイトの設置を行った。このようにベイトを用いる方法は好白蟻性ハネカクシの採集に効率的な方法である。ベイトを解体し注意深く好白蟻性ハネカクシを分けとり, 解剖学的観察を行った。その結果, 年間を通じて, Japanophilus sp.とShinophilus sp.の成虫が見つかっただけでなく, さらに今回初めて, Japanophilus ◆セッション3:好白蟻性動物◆Section 3: Termitophile[16] 台湾のシロアリへの真菌のビオトロフィックな寄生: Termitaria, Mattirolella, Antennopsis, Laboulbeniopsisの台湾における最初の記録Fungal Biotrophic Parasites of Taiwanese Termite: The First Record of Termitaria, Mattirolella, Antennopsis, Laboulbeniopsis in Taiwan Kuan-Chih Kuanら5名(National Chung Hsing University, Taiwan) シロアリは昆虫病原菌を多様に含む土壌やリターの中で生活しており, シロアリの巣の中にも昆虫病原菌は侵入している。シロアリの外骨格で成長する寄生性の真菌も8つ以上が知られており, その大部分はネクロトロフィックではなくビオトロフィックだと考えられている。本研究では, 台湾のシロアリの表皮で成長する外部寄生性の真菌の形態的多様性を調べた。20種のシロアリの954コロニーのそれぞれからランダムに選んだ10-20個体(合計1万個体以上)の職蟻を顕微鏡で観察したところ, 13種が外部寄生性真菌に感染していた。Termitariaは最もよく感染していた上に, 形態的な多様性も高かった。[17] Myrmecophageの哺乳類である 中国のセンザンコウの季節的な摂食生態Seasonal Feeding Ecology of an Obligate Myrmecophagous Mammal, Chinese PangolinNick Ching-Min Sunら5名(National Pingtung University of Science and Technology, Taiwan) アリやシロアリは生態系において膨大なバイオマスを保持しており, 多くの哺乳類の採餌対象になってい

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