2020りもLT50とLT95は最も値が高かったが, ビフェントリンはLT50とLT95は最も値が低く土壌中でより持続的であることが示された。被害を受けず, シロアリの生存率も0%であった。ポリエチレンTERMIFILM®では, 0.5mm径よりも0.7mm径の穴を開けた場合に, マツ辺材が被害を強く受け, シロアリの生存率も30%以上となる試験装置が多かった。この方法は再現性があり, 物理化学的バリアにも使用でき, フランス認定委員会で認定されている(https://www.cofrac.fr/)。[23] 革新的な抗シロアリバリアをテストするためのReliable Laboratory Trial for Testing Innovative Anti-Termite Barriers Marie-France Thévenonら7名(CIRAD, UPR BioWooEB, France) 本研究では, シロアリの革新的な物理的防壁を評価するための, 実験室内における信頼できる試験方法を提案する。防蟻剤は厳格に検討されていることもあり, 防蟻壁の開発ができれば技術革新でもある。ここでは, コントロールとしてパラフィルムを, 試験材料としてポリアミドフィルム, 超高分子ポリエチレンフィルム, ポリエチレンTERMIFILM®, メッシュ(孔サイズ0.63mm2)の5種類の素材を6cm2に切り取って用いた。これらの物理バリアには殺虫成分は含まれていない。ただし, メッシュ以外については, 0.5mmか0.7mmの穴を4箇所に開けたものと, 穴を開けていないものの2種類を作成した。この穴はプライマーであって, シロアリの頭および下顎の幅よりも小さいので通り抜けるには十分な大きさではない。試験装置はペトリディッシュにガラスチューブを立てたものである。ガラスチューブの中央部に物理バリア層を設置した。物理バリア層の下側は, 15×25×25mmのマツ辺材(Pinus sylvestris)を置き, 湿った砂を被せた。物理バリア層の上側は, 2mm径の縦穴を2箇所あけたフローラルフォーム(吸水性スポンジ)層を置き, シロアリ(Reticulitermes flavipes)のカースト割合を保った形で職蟻600頭・ニンフ6頭・兵蟻6頭を入れるとともに, シロアリを元々飼育していた箱から持ってきた餌も置いた。試験は4繰り返しで行い, 試験装置は27℃相対湿度75%で8週間保持し, 物理バリアの損傷の有無や堀孔の様相は週に2回確認した。最終的には, シロアリの生存率と, マツの被害度(EN117の視覚評価)を求めた。その結果, コントロールのパラフィルムでは全てのサンプルで餌木のマツ辺材が被害を強く受け, シロアリ生存率も50%を超えた。ポリアミドフィルム, 超高分子ポリエチレンフィルム, メッシュでは, マツ辺材は全く◆セッション5:シロアリの管理II◆Section 4: Termite management II信頼できる実験室試験[24] シロアリが来襲した世帯の調査と分散飛行の 時期についてHousehold Termite Infestation Survey and Swarming Season Shih-Ying Huangら4名(National Chung Hsing University, Taiwan) シロアリの侵入は住宅所有者に認識されにくい。研究者にとってもシロアリの飛翔時間は30分未満と短く一時的であるために観察が困難で, シロアリの分散飛行研究には課題が残っていた。そこでこの研究では, 住宅に侵入するシロアリの割合と, そのシロアリの種類の構成, 分散飛行時期を推定することを目的とした。市民科学プロジェクトを立ち上げ, 住宅所有者や害虫駆除業者にシロアリのサンプルを採取するように呼びかけた。住宅所有者や駆除業者がシロアリのサンプルを入手した場合には, WEBサイトにログインして場所や日時など必要なデータを入力してもらった。サンプルはNCHU(国立中興大学)で受け取って同定した後に, その情報を入力した。WEBに保存されているこれらの情報は, GoogleMapで分布図として提供することが可能で, シロアリ駆除会社がデータロガーとして使用することもできる。また, 各県の主要駅でアンケート調査を行い, Facebook(https://www.facebook.com/groups/398182670532605/)やWEBページの開設(http://www.termite.nchu.edu.tw)を行った。アンケートは合計1736の有効回答を得られ, シロアリの家屋侵入率は約10%で19の地域で差は見られなかった。また, 過去3年間で収集した3000を超えるシロアリのサンプルのうち, 95%以上のシロアリはCoptotermes gestroiとCoptotermes formosanusによるものであった。C. gestroiは台湾南部で, C. formosanusは台湾北部と東部で発見された。台湾中部では両者は同所的に見つかった。分散飛行時期は, C. gestroiは4月下旬, C. formosanusは5月下旬が, それぞれのピークであった。また, Cryptotermes domesticus, Odontotermes formosanus, Reticulitermes flavicepsも見つかった。
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