2222 ホストをChow-Yang Lee(University of California, USA)が務めた。スピーカーとして, Charunee Vongkaluang(Royal Forest Department, Thiland(retired)), Nan-Yao Su(University of Florida, USA), Partho Dhang(Entomologist, Consultant, Author & Editor with CABI, Philippine), Chun-I Chiu(National Chung Hsing University, Taiwan)が登壇し, ディスカッション形式のフォーラムが行われた。(講演要旨等無し)[27] マンギウムとパインウッドのフルフリル化処理は, Furfurylation Treatment on Mangium and Pine Woods Extremely Reduces Subterranean Termite Feeding ActivitiesYusuf Sudo Hadiら5名(IPB University , Indonesia) 広葉樹のマンギニウム(Acacia mangium)と針葉樹のマツ(Pinus merkusii)は, 植林後に多くは若木の段階で伐採されるため, 辺材が多く樹液を含むので, シロアリによる被害を受けやすい。木材をフルフリルアルコール(FA)に含浸することは, シロアリによる被害を防ぐひとつの方法である。本研究では, フルフリル化処理がシロアリの摂食活動に与える影響と木材の耐蟻性を, 実験室内でインドネシアの基準(SNI 7207-2014)に従って求めることとした。木材は0.5×2.5×2.5cmのブロックに切断し, 細胞の隙間をFA溶液で満たす含浸処理を行った。木材片はチャンバー内で600mHgで30分真空処理をした後でFA溶液を流入し, 10kg/cm2で30分間加圧するものである。この真空加圧の後は, 木材片を100℃で24時間加熱し重量増加を測定してから, 室内で3週間置いた。ガラス容器に200gの砂を7%水分量になるように調整したところに木片とシロアリCoptotermes curvignathusの職蟻を200頭入れた。これを, 温度が25℃から30℃, 相対湿度が80%から90%の暗所に4週間おいて, 1週間ごとに重量を測定した。その後木片は乾燥重量を測るために67℃のオーブンに入れて乾燥させた。死虫率は, 未処理のマンギニウム21.1%, 未処理のマツ12.3%であったが, フルフリル化処理すると, どちらの木材の場合でも試験期間が終了する前に全てのシロアリが死んでしまい死虫率は100%に至った。また, 未処理木材と比べてフルフリル化処理した木材は密度が高くなっており, 木材成分が化学的に変化している可能性が考えられた。フルフリル化処理した木材では, シロアリによる摂食活動が低くなり, 結果的に, シロアリ被害に対する木材の耐性が高くなる。未処理のマンギウム材はインドネシアの基準では"耐性クラスIV"か"耐性が低い"に分類され, パイン材は"耐性クラスV"か"とても耐性が低い"に分類されていたが, フルフリル化をすると"耐性クラスI"か"耐性が非常に高い"に分類されるほどになった。シロアリの摂食活性を大幅に減少する◆ Forum: Termite Management Innovation Inspired from Insights of Termite BiologyEvolution of Termite Symbiosis Informed by Transcriptome-Based PhylogeniesAleš Bučekら9名(OIST, Japan) シロアリは熱帯の生態系において最も存在量が多く, リグノセルロースを消化できる数少ない動物である。現代のシロアリが, 社会性を進化させたり腸内原生生物を失ったりしてきた, 進化の重要な行程を理解するためには, 正しい分子系統樹の構築が必要である。本研究では, シロアリ53種のトランスクリプトームと2つのゲノム解析を行い, 68種のシロアリの分子系統樹を再構築した。SphaerotermitinaeとMacrotermitinaeの間の系統樹上の姉妹関係を回復することによって, 原生生物の喪失や菌床栽培の起源に関する理解が変わるものとなった。[P02] 宿主万能性をもつインクラインシロアリの Characterizing the feeding behaviour of a generalist inquiline termiteSimon Hellemansら7名(OIST, Japan) 他のシロアリ(ビルダー)が営巣した巣内に営巣するシロアリ(インクライン)であるCavitermes tuberosus(Termitidae: termitinae)は, 様々な宿主ビルダーの巣内に生息している。彼らは巣の外に出ることはなく, 巣材を食べている可能性が考えられた。本研よってわかるシロアリ共生の進化摂食行動の特徴2. フォーラム:シロアリの生物学の洞察に基づく シロアリ管理の刷新3. ポスター発表[P01] トランスクリプトームに基づく系統解析に
元のページ ../index.html#26