しろありNo.174
28/50

2424るがそのようになることは, 野外での種同定を混乱させる。これらの結果から, インドネシア都市部ではC.gestroiは主要害虫の可能性が考えられた。本研究では, Sundaic地方におけるCoptotermes属の存在と系統関係を調べた。De novo Development and Polymorphism Analysis of Microsatellite Markers in Prorhinotermes flavus (Blattodea: Rhinotermitidae)Yung-Hao Chingら5名(Tzu Chi University, Taiwan) Prorhinotermesは熱帯の沿岸域に見つかり, 海を渡って分散できたのは非生殖虫が生殖虫へ変わることができたことによるのではないかと言われている。この仮説を検証するためにはマイクロサテライトを用いた遺伝学的方法が有効である。本研究では, Prorhinotermesのドラフトゲノムから, CAまたはAATの塩基の繰り返し配列からなるマーカーを開発した。遺伝的多様性の検出を確認するために, 非近交系の実験室内飼育コロニーからの抽出DNAでPCRを行った。高い多型を保存している7つの遺伝子座について, 6-FAM, VIC, NED, PETを含む蛍光色素で標識し, マルチプレックスPCRのフラグメント解析に用いた。台湾のケンディンで採集されたコロニーのシロアリを用いたテストでは, 1座あたり1から 4つのアリルが存在し, 85.71%の遺伝子座に多型が存在した。ヘテロ接合性の頻度について観測値と期待値を比較すると, Hardy-Weinberg平衡状態にあり, コロニーは任意交配集団であることが示された。[P08] シロアリの世界的な歴史的生物地理学Worldwide Historical Biogeography of Termites (Blattodea: Isoptera) Menglin Wangら2名(OIST, Japan) シロアリはゴキブリから170百万年前に分岐し, 149百万年前に全てのシロアリの共通祖先が存在している。シロアリが古くから存在していることを思えば, 現在シロアリがこのように分布している理由は, プレートテクトニクスによる分散や海や橋を渡っての分散などで説明できそうだ。本研究では, 完全なミトコンドリアゲノムを用いることで, シロアリの歴史的生物地理学を解明する。これにより, シロアリの正確な起源と分散分布パターンを再構築できた。最終的には, 約2000サンプルのミトコンドリアゲノムのシーケンスを行う。[P09] Prorinotermes flavusの生殖階級の Plasticity of Reproductive Caste Development of Prorhinotermes flavus (Blattodea: Rhinotermitidea) Yi-Ning Chiuら5名(National Chung Hsing University, Taiwan) 形態学的分析からProrhinotermes属ではRhinotermitidaeよりもカースト発達時の可塑性が高いと考えられている。彼らは熱帯の海岸線や島といった特徴的な領域に分布しているが, これは, コロニー内の幼形生殖虫ネオテニックの割合が2-12.9%と高いことにも由来しているのだろう。ネオテニックが, 適[P06] インドネシアのスマトラ島リアウの [P07] Prorhinotermes flavusのマイクロサテライト植林森林におけるシロアリ調査Termites Investigation on Forest Plantation Area in Riau, Sumatera Indonesia Fadjar Sagitariantoら4名(Universitas Islam Riau, Indonesia) 植林森林などの単純な植生ではシロアリの侵入は増大する可能性がある。インドネシアのスマトラ島リアウ州の住宅地と, ユーカリ(Eucalyptus pellita)とアカシア(Acacia crassicarpa)の植林森林において, シロアリの侵入調査を行った。シロアリ種の多様性や樹木への影響と殺虫剤の効果を試験した。その結果, 植林森林では, Termitidae科のCapritermes sp., Longipeditermes longipes, Macrotermes sp., Microcerotermes duplex, Microtermes sp., Procapritermes sp., Rhinotermitidae科のCoptotermes curvignathus, Schedorhinotermes sp.の2科8種のシロアリが見つかった。住宅地では, Kalotermitidae科のCryptotermes domesticusが見つかった。C. domesticusは乾燥した建材にいたが, 植林森林にはいなかった。アカシア植林森林ではC. curvignathusが最も多く見つかった種で, ユーカリ植林森林ではM. duplexが最も侵入していた。有効成分として, フィプロニル2ml/Lと, クロルフェナピル+インドキサカルブ3ml/Lを含有する殺虫剤がM. duplexの防除に有効で, 適用後2ヶ月まですべての観察区域で新たな侵入は見られなかった。マーカーのde novo開発と多型解析発達における可塑性

元のページ  ../index.html#28

このブックを見る