2626termitariusとAntennopsis gallicaである。これらは宿主シロアリの行動や生殖や生存に影響を与えている可能性がある。外部寄生真菌の大きさはとても小さいので, シロアリ上にいる真菌の選抜には顕微鏡下における視覚的な観察がよく行われているが, 非常にたくさんの数のシロアリを観察しなくてはならない。外部寄生性真菌の検出を確実に安く行うために, 特異的なプライマーを用いたマルチプレックスネステッドPCRが開発された。しかし真菌のシロアリへの感染過程や行動への影響はよくわかっていない。本研究では, シロアリの表皮への真菌の付着と成長を観察した。感染シロアリはグルタルアルデヒド溶液で固定し, 感染部位を透過型電子顕微鏡で観察した。観察結果は, 真菌はどのようにシロアリに感染するのか, 感染したシロアリはどのような損傷を負うのか, 真菌感染シロアリはなぜ寿命が短いのか, シロアリへの真菌感染の影響や行程や状況の理解につながる。その高度に派生した形態的/構造的特徴の研究A Nematode Species Associated with Termitophilic beetle, Ziaelas formosanus – A Study of its Highly Derived Morphological/Structural CharactersNatsumi Kanzakiら4名(Forestry and Forest Products Research Institute, Japan) 農業をするシロアリOdontotermes formosanusには甲虫やハエやヤスデなどの幾つもの節足動物が共生している。シロアリと共生生物に関係する線虫には, 巣内に2つの異なる線虫相が存在することを報告してきた。つまり, シロアリも共生生物もそれぞれに関係する線虫を保持していて, 互いの線虫に重なりがないということである。この研究では, 好白蟻性の甲虫であるゴミムシダマシの一種Ziaelas formosanusに関する線虫について調べた。線虫は, 甲虫の成虫から, 休眠耐性幼虫であるダウアー段階で単離されたが, シロアリの体や菌床などの巣材からは検出されなかった。ダウアー幼虫は増殖型4齢幼虫を経由して成虫になるので, 細菌食である線虫を大腸菌を生やした培地の上で飼育した。ふたつのrRNA遺伝子座(18Sほぼ全長と28SのD2-D3領域)を用いた分子系統解析から, この線虫は, 土に住むハチやキノコムシやキクイムシが保持しているのと同じ, Acrostichus属であると同定した。ただし, 摂餌口構造については特にAcrostichus属の一般的な[P12] 台湾における悪名高い2種のシロアリ害虫の [P13] シロアリと外部寄生真菌の関係の識別Identification of Termite – Ectoparasitic fungi RelationshipIkhsan Guswenrivoら6名(Indonesian Institute of Sciences, Indonesia) シロアリの外部寄生性真菌は宿主の体表面に付着して成長する。22種のシロアリ外部寄生真菌が報告されており, そのうち最もよくある種はLaboulbeniopsis 交雑に関するモニタリング調査Monitoring the Hybridization of Two Notorious Termite Pests in Taiwan Guan-Yu Chenら5名(National Chung Hsing University, Taiwan) Coptotermes formosanusとC. gestroiは世界で最も破壊的な害虫として知られており, 両者はともにフロリダ, ハワイ, 台湾に進入し定着している。フロリダにおける実験室内での研究では, 両種はハイブリッドコロニーを作ることができ, 繁殖力があることが示された。野生でハイブリッドコロニーが安定的に生き残れば, 人間社会にとって深刻な問題である。台湾では, C. formosanusは全土で, C. gestroiは中部と南部に分布し, 主に両種の重複は中部において起こっていることから, 100年の歴史の中で野生のハイブリッドが生じている可能性が考えられた。そこで台湾中部の3都市(台中, 雲林, 嘉義)にて, 両種の有翅虫を捕まえて, ハイブリッドの可能性を調査した。有翅虫の飛翔分散は2019年5月20日から6月20日まで毎晩起こり, 92日間にわたる毎日のモニタリングから, 全飛翔分散日のうち両種の飛翔分散が重複した回数は, 台中では全27日のうち9日, 雲林では全5日のうち0日, 嘉義では全38日のうち3日であった。この有翅虫の雌雄を掛け合わせてコロニーを作成し, 6ヶ月後に生存率を調べた。雌C. formosanus×雄C. gestroiで19.4%(14/72), 雄C. formosanus×雌C. gestroiで48.1%(38/79), 雌雄C. formosanus同士で33.3%(42/126), 雌雄C. gestroi同士で40.4%(40/99)であった。このことから, 両種は台湾において飛翔分散時期が重なっており, 少なくとも実験室では交配も可能で初期コロニーを形成できることが判明した。さらに遺伝的マーカーとなるマイクロサテライトを用いて有翅虫の遺伝的多型を都市間で調べることによって, ハイブリッドコロニーが存在して生き残るのかどうかを調査したい。[P14] 好蟻性甲虫の線虫Ziaelas formosanus–
元のページ ../index.html#30