しろありNo.174
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キシダーゼに属している。シロアリの防除の基礎理論として, この研究では, セルラーゼとヘミセルラーゼの活性に対するラッカーゼの活性の影響と, 内在組織と原生生物の遺伝子発現, 後腸における共生鞭毛虫と細菌群集の存在量の特徴を解析した。その結果以下のことがわかった。(1)普通の餌条件下で, コウジ酸はフェノールオキシダーゼの活性を顕著に阻害する可能性があった。内在性や微生物由来のセルラーゼやヘミセルラーゼの活性は全て減少したが, 後腸のヒドロラーゼの活性ははより優位に上昇していた。異なるヒドラーゼに対するフェノールオキシダーゼ活性に影響を与える順番は, β-1,4-エンドキシラナーゼ(EX)>セロビオヒドロラーゼ(CBH)>β-グルコシダーゼ(BG)>β-1,4-エンドグルカナーゼ(EG)であった。セルラーゼとヘミセルラーゼの遺伝子が大部分アップレギュレーションしたのに対して, 唾液腺lac遺伝子の発現はフェノールオキシダーゼ活性で優位に阻害されたこれらのヒドロラーゼの発現のアップレギュレーションは, 酵素活性の阻害に正比例している:Pex(原生動物)> Peg(原生動物)> bg(唾液腺)>eg(唾液腺)。(2)後腸におけるセルラー是活性の変動傾向に従って, Pseudonympha grassiと Holomastigotoides hartmanni と, バクテロイデスやスピロヘータの共生バクテリアの数は減少したが, 優位ではなかった。逆に, Spirotrichonympha leidyiの数は大幅に増加した。一方, コウジ酸は, ファーミキューテス門, プロテオバクテリア, アクチノバクテリアにおける, 希少な細菌の量を増やした。これらの門は, シロアリの解毒代謝を担っていると考えている。したがって, この研究は, 内在性のラッカーゼと後腸のヘミセルラーゼの間には高い相関があることを示している。リグニン, セルロース, ヘミセルロースの分解には, 最適な加水分解の制御の順序において, 異なる優先レベルが存在する。シロアリの生存戦略において非鞭毛共生細菌は重要である。31314. エクスカーションとディナー エクスカーションでは, Yehliu Geopark(野柳地質公園), Yagmingsan national park(陽明山国家公園)のYangmingshan Flower Clock(陽明山花鐘)とXiaoyoukeng(小油坑)を訪れた。野柳地質公園は台北北部の海岸にあり風や波による浸食を受けてアンバランスな形になった岩が並んで不思議な光景を作り出していた(写真参照)。陽明山花鐘には大きな花時計があり緑豊かな公園であった。小油坑は, 硫黄の匂いがただよい, 近くで蒸気が噴出する, 間近で火山の活動を感じられる迫力のある場所であった。 1日目のウエルカムディナーは, 台北動物園内で行われた。動物園内でこの様なイベントが行えるのは滅多にない特別なことであるとのこと。2日目のガラディナー(Gala Dinner)はHoward Plaza Hotel Taipeiで開催された。最後に, 次回の本学会大会についての発表があった。次回のPRTRG14は, 2022年2月24-25日にタイのチェンライ(Chiang Rai)で開催予定, 会場はMae Fah Luang Universityとのこと。その頃には新型コロナ感染症も落ち着いて, 人々が自由に世界を往来できる時となっていることを祈りたい。是非多くの方々が参加されることを期待する。

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