しろありNo.175
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 小笠原諸島の希少動植物への影響を最小限にするために, 薬剤とその使用方法については十分注意する他, 新技法や新たな薬剤の情報収集にも努めております。写真3 タマナ(テリハボク)を加害しているイエシロアリ写真4 営巣箇所から見つかったイエシロアリの女王(写真中央)めて困難な作業であり, 「探査」が最も重要なシロアリ駆除対策の根幹となります。またこの探知機を応用することで, ヒアリなどの侵略的外来種の探査にも使用できれば, この探知機のニーズは世界規模となるのではないでしょうか。父島はイエシロアリの生息密度が高いゆえに実験する環境には適していると思いますので, 是非ご検討をお願いいたします。 国際自然保護連合(IUCN)により世界の侵略的外来種ワースト100にリストアップされているイエシロアリが森林生態系に関してどれほど影響を与えているかについても関心があります。小笠原諸島では希少動植物が多く存在していますが, イエシロアリによる影響については学術的な研究がなされていないようです。森林生態系を保全するにあたり, 外来種であるイエシロアリの駆除が必要であるか否かについては, 今後の世界中のイエシロアリ対策においても重要な要素であると思いますので, ご研究をいただけると幸いでございます。写真5 群飛間近のイエシロアリの有翅虫11115. イエシロアリによる森林生態系への影響調査のお願い6. 群飛調査結果による山域での調査域の絞り込み シロアリ対策事業は今まで何人もの村職員が担当してきましたが, 平成23年度から6年間担当していた松谷諭主査により対策事業は大きく進展しています。進展の一つとして言えるのが群飛調査で, 平成25年から森林総合研究所の大村和香子先生のご協力のもと, より有翅虫が集まりやすいピーク波長375nmの紫外線ランタンを採用した他, 母島でのライトトラップの観測4. イエシロアリ探知機の開発のお願い 有翅虫以外の個体はなかなか地表に現れてこないため探査が非常に難しく, 父島より生息密度の低い母島集落周辺の山域では10人ぐらいの作業員で, 1日中探しても最近では発見することができていません。この探査は体力的にかなりきつく, モチベーションも下がり, 精神的にも疲弊します。探査作業がシロアリの「匂い」を嗅ぎ付けたり「赤外線」などを利用した探知機のようなもので見つけられるようになれば, シロアリの駆除事業は大きく躍進し, 家屋や農産物, 希少植物の被害も大きく低減することが期待されます。つまりは地表にほとんど痕跡のない集団を探査することは極

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