しろありNo.178
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 屋内での入隅部や, 建物外周の水切周辺は, 前回施工時には, 虫糞は認められなかった場所であるが, 清掃や, 屋外では風雨の影響により, 目印となる虫糞が除去され被害見落としにつながる恐れがある。一定の被害程度まで抑えるためには, やはり定期点検と防除の繰り返しが重要と感じた。なお, 写真21の障子下桟周りは, 筆者が前回施工した部位であり, インジェクターで液剤を念入りに処理したつもりであったが, 駆除漏れによる再発と推測される。写真19 室内入角 新被害部写真21 障子縦框と下桟 再処理(5-8)だきたい。写真20 柱上部 新被害部21213. 考察 今回の防除施工は, 関西・北陸しろあり対策協会が受託した事業を, “乾材シロアリの総合管理システム”に準拠しながら, 協力業者のノウハウを元に具体作業を実施する形式で行った。アメリカカンザイシロアリの防除施工を行う上での課題と, 協会の事業として会員企業が継続的に防除を実施していく上で感じた課題について考えたい。 筆者は, メーカーの技術者として, 普段は施工工事を生業とする立場ではないため, 施工業者視点からみられると的外れであるかもしれない点はご容赦をいたア)アメリカカンザイシロアリ防除施工について これまで筆者は, 防除薬剤製造・販売業者の研究者として, アメリカカンザイシロアリ防除薬剤開発の視点で現場試験等に携わってきた。基本的には, 処理物件単位での駆除や被害拡大の防止を目的とした施工という観点になる。今回, “乾材シロアリの総合管理システム”を元に防除を実施する中で, システムは合理的な内容であると改めて感じた。 アメリカカンザイシロアリの被害に遭われた方, また関係者は皆, 燻蒸処理を実施できればと考えている。しかしながら, 防除システムに記載の燻蒸処理業者登録実績が無く, 燻蒸処理が実施できる業者が限られており, また燻蒸施工の費用は高額であることから, 現実的には実施困難という実情がある。 また, 燻蒸処理のみでは予防効果は無いため, 再発の懸念もある。実際に, 過去に燻蒸処理を実施した物件で再発被害が確認されている。既に被害が広がっている地域では, アメリカカンザイシロアリの密度も高く, 再感染の可能性はより高いとも考えられる。この

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