しろありNo.178
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ることが示唆される。 これらのことからシロアリを効率的に養殖する際, 個体群密度を考慮する必要があることが分かった。ることにより, 活用方法を模索していくべきであると言える。2節 森林整備の動向(1)3 )森口敬太, 鈴木保志, 後藤純一, 稲月秀昭, 山口達也, 白石祐治, 小原忠(2004):林地残材を木質バイオマス燃料として利用する場合のチップ化と運搬コスト 日本林學會誌 86(2), 121-128.4 )蓮沼誠久, 石井純, 萩野千秋, 近藤昭彦(2015):バイオリファイナリーの現状と展望―バイオマスからの化学品・燃料の生産 化学と生物 53(10), 689-695.5 )渡辺裕文, 徳田岳(2001):シロアリとセルロース分解 化学と生物39(9), 618-623.6 )吉村剛, 川口聖真, 青柳秀紀(2009):シロアリとエネルギー 日本環境動物昆虫学会20(4), 153-163.7 ) 松本忠夫, 三浦徹(2001):社会性昆虫としてのシロアリーその繁殖戦略とカースト分化 化学と生物39(7), 482-489.8 )三高雄希(2019):ヤマトシロアリの兵隊の役割とフェロモンコミュニケーション しろあり172, 54-60.9 )Rebeca B. Rosengaus, Matthew R. Guldin & James F. A. Traniello (1998) :Inhibitory effect of termite fecal pellets on fungal spore germination。 J. Chem. Ecol. 24, 1697-1706.10 )Joyeeta Singh Chakraborty& Sudhir Singh(2020):Abundance, Population Density and Spatial Ecology of Mound-Building Termites in Moist Tropical Deciduous Forests of Northern India Ecoscience, 27(3), 209-222.11 )Itakura, S., J. Okuda, K. Utagawa, H. Tanaka, A. Enoki (2006): Nutritional value of two subterranean termite species, Coptotermes formosanus Shiraki and Reticulitermes speratus (Kolbe)(Isoptera: Rhinotermitidae). Jpn. J. Environ. Entomol. Zool., 17, 107-115.55参考文献1 )青柳里緒, 宮林茂幸, 関岡東生間伐材利用の現状と課題 日本林学会大会発表データベース115巻 J08(2004)日本森林学会2 )令和元年度 森林・林業白書 第1部 第1章 第(2)ネバダオオシロアリに含まれる脂質の量と成分 脂肪酸組成はオレイン酸, リノール酸が多かったことから植物性油に近く, 特に落花生油に類似していた。このことから, ネバダオオシロアリの脂質は化粧品, 食料油, さらにはバイオ燃料など様々な物に利用できると考えられる。 しかしながらネバダオオシロアリに含まれる脂質の量は乾燥重量の約13%~30%であり, ミソガシラシロアリ科11)に比べて少なかった。このことから, ネバダオオシロアリに含まれる脂質以外のアミノ酸などの成分の量も測定し, 活用方法を検討していく必要があると言える。5. 摘要 本試験ではオオシロアリを用いた間伐材の活用方法を評価すべく二つの試験を行った。一つ目の試験では, ネバダオオシロアリの個体群密度が増殖に及ぼす影響について検証した。ネバダオオシロアリは兵庫県川西市の山林から採集したコロニーを用いた。サイズを一定に揃えたヒノキ間伐材(直径13cm, 高さ3cm)に試験区ごとに異なる個体群密度に分けて飼育し(20頭, 40頭, 60頭, 80頭, 100頭, 120頭, 140頭), 40日後に生存数と産卵数を計測した。すべての試験区でソルジャーの割合は2%とした。その結果, 個体群密度と生存率との相関は弱い一方, 個体数と産卵数には低密度では正, 高密度では負の相関関係が非常に強く見られた。このことから社会性昆虫であるネバダオオシロアリは高密度条件下では産卵数を抑制することにより密度を調節していることが明らかとなった。 二つ目の試験ではネバダオオシロアリに含まれる脂質の量と成分の分析を行った。30頭のネバダオオシロアリから脂質を抽出しGC分析を行った。その結果, 不飽和脂肪酸が多く含まれ, 落花生などの植物性油と類似の組成であった。しかしネバダオオシロアリに含まれる脂質の量は乾燥重量の13~30%であり, 他の下等シロアリよりも少なかった。 よって, ネバダオオシロアリの個体群密度を最適化することにより, ネバダオオシロアリを効率的に養殖することが出来ると考えられる。また, ネバダオオシロアリに含まれる脂質以外の量や成分を分析す

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