2. 試料と方法 標本は2016~2017 年にインドネシア西部周辺で採集し, 70%エタノール中で低温保管した。これらの標本は,ボゴール博物館(Museum Zoologicum Bogoriense) とインドネシア科学研究所 生物材料研究センター寄託されている。 線形値は, 特定の標識点(landmark)の特徴的な標識点間の距離から求めた(図2)11)。標本の初期観察において合計78個の特徴点を決定した。そのうち34個はサイズに関する特徴点である12-16)。多変量解析に供するデータは, 歪度やアロメトリー効果による非正規分布を最小化するために, 標準化前に対数変換し17, 18), 主成分分析(Principal Component Analysis: PCA)およ図2 線形形態計測解析における計測値と幾何学的形態計測解析における標識点の取得 幾何学的形態計測解析における1~5は同解析の手順を示す(シェイプの重ね合わせ, 形状変数の収集, 形状の平均化)。Termite Journal 2023.7 No.180 び判別関数分析(Discriminant Function Analysis: DFA)を実施した。2.3 幾何学的形態計測解析 頭部(Head Capsule: HC)と下唇後基節(Postmentum: PS)の形状について, 標識点の特徴を元にさらに解析した。PSの画像は腹側から, HCの画像は背側からデジタルマイクロスコープを使用して撮影した。HCの標識点は210個体, PSの腹側の標識点には215個体, PS の側面の標識点には137個体の兵蟻を各々用いて決定した(図2)。標識点と準標識点(semi-landmark)は, 対象物の形状を表すべく, 観察が容易で再現性の高い点を選択した。なお, 標識点は形状や生物学的形態を示す同族座標で, 準標識点は標識点間の曲率に沿った任意の座標である19-21)。次にプロクラステス解析(Full Procrustes-fit)を実行し, 形状変数を作成した。形状変数の重ね合わせと収集は, 幾何学的形態解析のためのソフトウェアプログラム(MorphoJ version 1.07a)を用いて実施した22)。2.1 イエシロアリ属の標本(C. curvignathus 66個体, C. elisae 10個体, C. gestroi 84個体, C. sepangensis 63個体, C. kalshoveni 5個体)(Research Center for Biomaterials - Indonesian Institute of Sciences(LIPI), Cibinong, Indonesia)に2.2 線形的形態計測解析1010
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