ブックタイトルしろありNo.161
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しろありNo.161
Termi te Journal 2014.1 No.161 37研究発表Research Presentations鹿児島県のシロアリ被害率について廣瀬産業株式会社 廣瀬 博宣1.はじめに 昭和50年代, 白蟻防除業界では, ヤマトシロアリの被害が急増し, ヤマトシロアリの駆除工事が8月, 9月まで続くなど, 活況で忙しい時代があった。その後,平成の初めには, ベタ基礎, ユニットバス, 外壁の窯業サイディング使用, 通気構造採用など, 住宅の構造改善が進み, ヤマトシロアリの被害は減少した。しかし,鹿児島県では建物に大きな被害を与えるイエシロアリが多く生息し, 建物のシロアリ被害は, 現在でも高い水準で発生している。 一方, 平成10年代後半には, 中古住宅の購入に長期固定金利住宅ローン「フラット35」が適用できるようになった。その条件として, 外壁, 基礎及び床下に目視で蟻害がみとめられないことと規定している。鹿児島県ではその確認として, 中古住宅を販売する不動産会社などが, 販売前の中古住宅の白蟻被害調査を, 白蟻防除業者に委託し, 被害がないとする調査報告書を求めている。しかし, 白蟻調査で白蟻被害が判明し, 修復工事が必要となるケースも多々発生している。 現在, 国土交通省は, 中古住宅の流通促進を掲げているが, 中古住宅の売買では白蟻被害の無いことが重要であり, その基礎資料として, 既存住宅のシロアリ被害率把握が求められている。 鹿児島県しろあり対策協会(以降, 鹿児島県協会と略す)では, 鹿児島県のシロアリ被害率を把握するため, 平成22年から25年にかけて, 「かごしま住まいと建築展」でアンケート調査を行った1)。4年間の調査で鹿児島県の住宅のシロアリ被害率は総平均13%であることが確認できた。その詳細を報告する。2.過去のシロアリ被害率 過去に行われた, 建物のシロアリ被害率調査報告として, 次の二つの報告がある。 ・ 昭和27年建築士協会が行った九州, 関西のシロアリ被害率調査報告 福島正人著「しろありと住居」2)の第3章しろありの加害に, 昭和36年大阪府建築士会の文献からの抽稿として紹介されている。 ・ 平成13年社団法人日本しろあり対策協会が会員を通じ行ったシロアリ被害率調査報告1)昭和27年の被害調査 「しろありと住居」2)に記載された, 昭和27年建築士協会が行ったシロアリ被害調査報告の一部を図1, 図2に紹介する。 ・被害棟率奄美群島を除く鹿児島県での各地域別被害棟率を以下に示す イエシロアリ地域 60 ~ 70% 平均67% 混在地域 20 ~ 47% 平均29% ヤマトシロアリ地域 33 ~ 36% 平均34%図1 一月平均気温分布としろあり分布地域図(文献2)より) (奄美群島を除く鹿児島県の場合)