ブックタイトルしろありNo.161

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概要

しろありNo.161

Termi te Journal 2014.1 No.161 43度によって検査結果が異なる場合が頻繁に生じる。 DNA解析による同定は検査に習熟した者であれば,誰が検査を行っても同じ結果が得られる。さらに既存の形態学的同定方法よりも優れた点は未知の生物体や体液, 卵, 幼虫, 組織が断片化(翅や脚などの一部の器官のみ)したものでもDNAさえ抽出することができれば同定が可能な点である。 DNA解析による同定方法は生物よりDNAを抽出し,DNAの特定領域をPCR反応により増幅させる。増幅させた領域をDNAの配列を解読することができる機器(DNAシーケンサー)にかけることにより配列を得ることができる。得られた配列を元にデータベース検索をかけ, 生物種を同定する。 実際にこの方法にそって弊社では生物種の同定業務を行っている。その一部を紹介する(図5)。(事例1)テープに付着した昆虫断片 顕微鏡で観察を行うと腹部の一部であることは明らかであったが同定は困難であった。DNAを抽出しDNA解析したところ, キイロショウジョウバエと検索された。(事例2)ノミバエの同定 形態学的特徴よりノミバエであることは明らかであったが種名まで同定は困難であった。DNA解析したところ, クサビノミバエという結果が得られた。(事例3)環境モニタリング時に付着菌として検出されたグラム陽性菌 細菌のコロニーの形状およびグラム染色の結果などからBacillus属であることは容易に分かるが, 菌名を生化学的手法によって同定することは困難である。そこでコロニーよりDNAを抽出し, DNA解析したところBacillus subtilisのDNA配列と100%一致した。(事例4)浮遊菌培地に検出された真菌 真菌であることは顕微鏡で観察することにより容易に判定可能であるが, 胞子嚢や胞子が観察されないものの同定は困難である。真菌よりDNAを抽出しDNA解析したところAlternaria altenataという結果が得られた。 DNA解析による同定方法は既存の同定法よりも再現性に優れた結果を導きだすことができる。今後, 品質管理の様々な局面で活用されることが期待できる。図4 生物同定検査の従来法とDNA解析との比較図5 DNA解析による生物同定事例事例3 事例4