ブックタイトルしろありNo.161

ページ
47/56

このページは しろありNo.161 の電子ブックに掲載されている47ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

しろありNo.161

44 T e r m i t e J o u r n a l 2 0 1 4 . 1 N o . 1 6 1研究発表Research Presentations1.避難所の現状と課題 平成23年3月11日, 東日本大震災が発生し, 東北地方を中心に多数の方が被災された。その後も, 日本各地で地震被害が発生している。国は, 平成24年3月31日に「南海トラフの巨大地震モデル検討会」による「南海トラフの巨大地震による震度分布・津波高について」の新たな想定(以下, 「新想定」という。)を公表し, さらに, 平成25年4月24日には, 平成25年1月1日を基準日として, 今後30年間以内に南海トラフ全体でマグニチュード8以上の大地震が発生する確率を60%~70%と公表した。また, 南海地震とほぼ同時に発生することが多かった東海地震, 東南海地震が連動する巨大地震の発生も懸念されている。平成25年5月に高知県が公表した被害想定では, 住宅を含めた揺れによって全壊する建物の数を約8万棟, 避難者の数を43.8万人とし, 避難所に収容する者の数が28万人と推計されている。 避難所は, 津波浸水被害の有無に加えて, 地震の強い揺れに対する安全性が確保されていなければ, 避難所としての役割を果たすことができない。しかしながら, 県内の約1,500棟の避難所のうち, 約500棟が木造で建築されており, また, 建築後, 相当な年月が経っている避難所が含まれているなど, 避難所が不足していることだけでなく, 現在, 避難所として位置付けているものについて, 安全性が確保されているかどうか, 把握できていないことも課題となっている。2.調査の実施 県内には, 木造の避難所が数多く存在している。シロアリ被害は, 建築物の耐震性に大きく影響するものであり, これらの避難所の耐震性が保たれていなければ, 前述のように大地震が発生した場合, 避難者を受け入れることができなくなる。また, 避難所の竣工後,シロアリ被害の調査ができていないものも数多く存在しているものと考えられる。 そこで, 平成24年の7月から8月にかけて, 県内34市町村に対して, 避難所のシロアリ被害調査を無償で実施する取り組みに対する協力を呼び掛けたところ,新想定を受けて, 南海地震対策を積極的に進めている6市町村から延べ50棟の調査協力を受けることができた。 調査実施にあたっては事前に協議を行い, 調査項目を①建物外壁等のシロアリ被害②室内のシロアリ被害③小屋組・天井のシロアリ被害④床下のシロアリ被害⑤備蓄品のシロアリ被害⑥構造躯体の腐朽被害の6項目とした。調査方法は目視, 打診, 触診による非破壊調査とした。 調査は高知県しろあり対策協会会員6社の蟻害腐朽検査員及びしろあり防除施工士が中心となって,述べ25グループ59名によって全7日間の日程で実施した。 調査の様子は地元新聞紙に取り上げられ, 県民の避難所に対する関心を少しでも高めることができたものと考えている。高知県における避難所のシロアリ被害調査について高知県しろあり対策協会 松岡 功宜写真1 調査物件(集会所)外観